この記事のポイント
- メーカーではなく「相乗り出品(卸売り・小売業)」を行うセラーは、商品ページを自由に編集できないため独自の戦略が求められます。
- 価格を1円ずつ下げてカートを奪い合う「価格競争」は、最終的に全員が赤字になるため早急に脱却しなければなりません。
- 最安値でなくてもカートを獲得するためのFBA活用や、ポイント・クーポンを活用した見せ方の工夫が重要になります。
- 自社で独自の「セット品(新規ASIN)」を作成することでライバル不在の市場を作れますが、ノーブランド品としての出品になる点に注意が必要です。
- 相乗り出品者でも広告は出せますが、広告タイプによってはカートを奪われている時に「無駄な広告費」が発生する罠があるため仕様の理解が必須です。
相乗り出品の宿命「価格競争」による利益の圧迫
同じ商品ページに複数の出品者が群がる状況では、戦略がなければ利益は残りません。
Amazonに出品している事業者の半数以上は、自社で製造したオリジナル商品ではなく、他社のメーカー品を仕入れて販売する「卸・小売業者(相乗り出品)」です。
Amazonのシステムでは、同じ商品は1つの商品ページ(ASIN)にまとめられ、そこに複数の出品者が相乗りする形になります。商品画像や説明文(A+コンテンツ)を自由に編集して差別化することが難しいため、多くの中小セラーが「1円でも安くしてカートボックス(購入ボタン)を奪う」という泥沼の価格競争に陥ってしまいます。
しかし、価格を下げ続ければ最終的に全員が赤字になり、ビジネスとして成立しなくなります。自社ブランドを持たない小売業者であっても、価格以外の部分で戦い、しっかりと利益を残すための「5つの必勝施策」を解説します。
施策①:最安値に頼らない「カートボックスの獲得」
価格を下げる前に、配送スピードとアカウントの健全性で勝負します。
相乗り出品において売上を立てるための絶対条件が、商品ページ右側の「カートに入れる」ボタン(カートボックス)を獲得することです。カートを獲得している出品者の商品だけが、お客様にワンクリックで購入されます。
カート獲得のアルゴリズムにおいて「価格」は重要ですが、それ以上に影響が大きいのが「配送スピード」と「出品者の信頼性」です。
自社で発送しているライバルが最安値をつけていても、自社がFBA(フルフィルメント by Amazon)を利用して「お急ぎ便」に対応していれば、数百円高くてもカートを獲得できるケースは多々あります。安易に価格を下げる前に、まずはFBAへの納品や、お客様からのセラー評価(店舗評価)を高く保つ運用を徹底してください。
施策②:独自の「セット品(新規ASIN)」の作成
ライバルが相乗りできない「新しいカタログ」を自ら作り出し、市場を開拓します。
相乗り出品者が価格競争から抜け出すための効果的な方法として、既存のASINに相乗りするのではなく、自社だけの「セット品(新しいASIN)」を新規に作成することが挙げられます。
メーカー(ブランド所有者)であれば「バーチャルバンドル」という機能が使えますが、小売業者はこの機能が使えません。そのため、以下のような物理的なセット品を作成します。
たとえば「シャンプー本体」と「詰め替え用」を透明なOPP袋などで物理的に1つのセットに梱包します。これに対して、自社で取得した新しいJANコードを割り当てるか、Amazonに「製品コード免除申請」を行うことで、全く新しい商品ページ(ASIN)を作成することができます。
メインのメーカー品に、自社で用意した「オリジナルのお手入れクロス」や「小分けボトル」などのおまけを同梱してセット品とします。ライバルは同じおまけを用意できないため、この新しい商品ページに相乗りすることができず、価格競争を回避できます。

ここで1点、非常に重要な注意点があります。ブランド権限を持たない小売業者が他社メーカーの品をセットにして新規ASINを作成する場合、そのカタログは特定のブランド名ではなく「ノーブランド品(Generic)」として出品する必要があります。勝手にメーカーのブランド名を冠してカタログを作成すると規約違反となるため、出品の際は十分にご注意ください。
「仕入れてもすぐに値崩れして赤字になる」「独自セット品の作り方が難しくて分からない」という事業者様は、ぜひ株式会社IRUNEにご相談ください。相乗り出品者が利益を残すためのカート戦略から、ノーブランド品でのカタログ作成まで、プロの運用術で伴走いたします。
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施策③:販促施策(ポイント・クーポン)による差別化
ベースの販売価格は崩さずに、お客様にお得感を提示してカートを引き寄せます。
ライバルとFBAの条件が同じで、価格も完全に横並びになった場合、そのままではカートボックスは複数の出品者で順番に「持ち回り(ローテーション)」となります。
ここで一歩抜け出すために有効なのが、「Amazonポイント」や「クーポン」の活用です。販売価格自体を下げてしまうと、ツールを使っているライバルが自動で追従してきて再び価格競争が起きてしまいます。
しかし、価格は据え置きのまま「自社だけが1%のポイントをつける」「自社だけが50円OFFクーポンを設定する」といった運用を行えば、価格競争を引き起こすことなく、Amazonのアルゴリズムやお客様に選ばれやすくなります。
施策④:B2B向け「Amazonビジネス」でのまとめ買い対応
一般消費者の裏に隠れた「法人からの大口注文」を取り込み、売上のベースを安定させます。
相乗り出品を行う小売業者が意外と見落としているのが、法人や個人事業主向けの「Amazonビジネス」の設定です。
文房具やPC周辺機器だけでなく、飲料、掃除用品、さらには景品用のおもちゃに至るまで、様々な商材が「会社の備品」としてまとめ買いされています。
- 法人価格の設定: 一般価格より数十円でも安い「法人専用の価格」を設定するだけで、B2B市場におけるカート獲得率が高まります。
- 数量割引の設定: 「5個買ったら3%OFF」「10個買ったら5%OFF」といった数量割引(ボリュームディスカウント)を設定し、大口注文を誘発します。送料の割合が減るため、割引しても十分に利益が残ります。
この設定を行っている相乗り出品者はまだ少ないため、少し設定を追加するだけでライバルをごぼう抜きしてボーナス売上を獲得できるチャンスが眠っています。
施策⑤:広告タイプの仕様を理解し、無駄な広告費を防ぐ
カートを奪われている時に「広告費だけが消化される罠」を回避します。
相乗り出品者であっても、カートを取得できている時間帯は「スポンサー広告」を活用して売上スピードを加速させることが可能です。
しかし、ここで多くの方が不安に感じるのが「もし自分がカートを奪われた状態で広告がクリックされたら、ライバルの商品を売るために自分の広告費が垂れ流しになってしまうのでは?」という点です。
結論から申し上げますと、利用する「広告タイプ」によってこの挙動は異なります。以下の表で、広告タイプ別のリスクを必ず確認してください。
| 広告タイプ | カート獲得の必要性 | カート喪失時の挙動 | 広告費の発生リスク |
|---|---|---|---|
| スポンサープロダクト広告 | 必須 | 自動的に表示が停止される | なし(課金されない) |
| スポンサーブランド広告 | 不要 | 広告は表示され続ける | あり(相乗りセラーの売上に貢献する恐れ) |
| スポンサーディスプレイ広告 | 不要 | 広告は表示され続ける | あり(相乗りセラーの売上に貢献する恐れ) |
このように、最も一般的な「スポンサープロダクト広告」をご利用であれば、カートボックスを奪われている間はシステムが自動的に広告配信を停止するため、無駄な広告費が発生する心配はありません。カートを奪還した時点で、自動的に広告配信が再開されます。
しかし、「スポンサーブランド広告」や「スポンサーディスプレイ広告」をご利用の場合は注意が必要です。これらの広告はカート獲得が必須条件ではないため、カートを奪われている状態でも広告が配信され続け、お客様の広告費を使って相乗りセラーの売上に貢献してしまうリスクがあります。
もしこれらの広告を併用されている場合は、相乗りセラーにカートを奪われている期間中、キャンペーンを手動で一時停止するか、入札額を大幅に引き下げるなどの防衛策を講じてください。
まとめ:ただの転売から抜け出し、プロの小売業者へ
ルールを深く理解し、付加価値を提供することで利益率は大きく改善します。
Amazonで他社製品を扱う卸・小売業者が、厳しい価格競争から抜け出すための5つの施策をお伝えしてきました。
カート獲得のアルゴリズム理解に始まり、独自セット品の作成、ポイントの活用、法人向けの数量割引、そして広告の仕様理解まで、Amazonのシステムを深く理解し、手間をかけて付加価値を提供できる出品者だけが、相乗り市場でも安定した利益を残すことができます。
もし、「独自セット品のカタログ作成がエラーでうまくいかない」「カートボックスの獲得率が上がらず在庫が滞留している」とお悩みであれば、ぜひ私たち株式会社IRUNEにお任せください。メーカー支援だけでなく、小売業者様の利益率改善においても多数の成功実績を持つプロのコンサルタントが、現状のアカウントを分析し、最適な運用戦略をご提案いたします。
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