この記事のポイント
- 「健康食品」「化粧品」には法律上の明確な定義がなく、薬機法・健康増進法・景品表示法という複数の法律が組み合わさって広告表現を規制しています。
- 健康食品・サプリメントは法律上「食品」として扱われるため、「治る」「効く」など身体の構造・機能への影響を暗示する表現は原則すべて禁止されています。
- 化粧品は薬機法で直接規制されており、広告できる効能効果は厚生労働省が定める56項目の範囲に限定されています。
- 2025年3月、化粧品の「特定成分の特記表示」について約40年ぶりにルールが改正され、一定の条件下で成分を強調した表示が認められるようになりました。
- 薬機法違反には売上の4.5%の課徴金が科される可能性があり、景品表示法(3%)と重複する場合は調整が入ります。Amazon側でも「効果効能を標ぼうする商品」として検出され、出品停止になるケースがあります。
なぜAmazonでこの問題が起きやすいのか
「効果効能を標ぼうする商品として検出されました」という出品停止通知は、薬機法が背景にあります。
健康食品や化粧品をAmazonで出品していると、「効果効能を標ぼうする商品として検出されました」という通知とともに、商品ページが非表示になったり、出品が停止されたりすることがあります。この通知の背景にあるのが、今回解説する薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)を中心とした、広告表現に関する複数の法律です。
Amazonは商品ページの文言を自動的にスキャンし、法令に抵触する可能性のある表現を検出する仕組みを持っています。つまり、法律を正しく理解しないまま商品ページを作成すると、意図せず出品停止のリスクを抱えることになります。
健康食品・サプリメントの基本ルール
健康食品は法律上「食品」であり、「効く」「治る」を謳った瞬間に無許可の医薬品として扱われます。
健康食品やサプリメントには、法律上の明確な定義がありません。厚生労働省は「医薬品以外で経口的に摂取される、健康の維持・増進に特別に役立つことをうたって販売されたり、そのような効果を期待して摂られている食品全般」と説明しています。
ポイントは、健康食品・サプリメントはあくまで「食品」として扱われるという点です。食品である以上、身体の構造や機能に影響を与えるような表現(改善する、整える、痩せる、〇〇に効く、など)を行うと、薬機法上は「医薬品的な効能効果を標ぼうするもの」とみなされ、無許可・無承認の医薬品を販売しているのと同じ扱いを受けるリスクがあります(薬機法第66条第1項)。
これに加えて、健康増進法第65条第1項では、健康の保持増進効果について虚偽・誇大な表示をすることを禁止しており、こちらは錠剤やカプセルに限らず、野菜・果物・調理品など見た目が食品そのものであっても対象になります。さらに景品表示法では、実際よりも著しく優良であると誤認させる表示(優良誤認表示)が禁止されています(出典:消費者庁「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」)。
つまり健康食品・サプリメントの広告表現は、薬機法・健康増進法・景品表示法という3つの法律の目を同時にくぐり抜けなければならないということです。なお、国が定めた基準を満たした「保健機能食品」(特定保健用食品・機能性表示食品・栄養機能食品)に限っては、決められた範囲内で機能を表示することが認められています。
| よく見かけるNG表現 | 規制の考え方 |
|---|---|
| がんが治る/生活習慣病が予防できる | 医薬品的な効能効果の標ぼう(薬機法・健康増進法) |
| 飲むだけで痩せる | 科学的根拠のない優良誤認表示(景品表示法) |
| 目・血液など特定部位の機能が良くなる | 身体の構造・機能への影響を暗示する表現 |
化粧品の基本ルール——56項目と2025年の改正
化粧品は「56項目」という具体的な範囲が決まっており、そこから外れる表現はすべて誇大広告とみなされます。
化粧品は健康食品と違い、薬機法によって直接的に規制される対象です。薬機法上、化粧品は「人体に対する作用が緩和なもの」と位置づけられており、治療的な効果や身体構造そのものを変えるような表現は認められません。
広告できる効能効果は、厚生労働省の通知「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年7月21日、薬食発0721第1号)に定められた56項目の範囲に限定されています。この範囲を超える表現は、根拠となるデータの有無にかかわらず、原則として誇大広告とみなされます。
| 部位 | OK表現の例 | NG表現の例 |
|---|---|---|
| 皮膚 | 肌を整える/皮膚の乾燥を防ぐ | 肌本来の機能を取り戻す |
| 毛髪 | 毛髪にはり、こしを与える | 髪の毛が太くなる |
| 頭皮 | フケ、カユミを抑える | フケが治る |
| その他 | 乾燥による小ジワを目立たなくする※ | シワが消える |
※56項目のうち「乾燥による小ジワを目立たなくする」は、日本香粧品学会のガイドラインに基づく試験でその効果を確認できた場合に限り使用が認められています。
また、2025年3月10日、厚生労働省は化粧品の「特定成分の特記表示」に関するルールを約40年ぶりに改正しました(医薬監麻発0310第3号)。特記表示とは、配合成分の中から特定の成分を抜き出して広告に表示することです。従来はその成分があたかも医薬品の有効成分であるかのように誤認させる恐れがあるとして厳しく制限されていましたが、今回の改正により、①配合目的が化粧品の56項目の効能効果の範囲内であること、②客観的に実証されていること、などの条件を満たせば、一定の範囲で認められるようになりました(出典:厚生労働省医薬局「化粧品における特定成分の特記表示について」)。
Amazonの商品名やA+コンテンツで「〇〇配合」といった成分名を強調する表現を使っている化粧品出品者は多いはずです。この改正は、そうした表現に直接関わる内容なので、既存の商品ページも一度見直しておくことをおすすめします。

健康食品・化粧品の広告表現は、複数の法律が同時に関わる
株式会社IRUNEでは、健康食品・化粧品ジャンルでの支援実績をもとに、商品名・箇条書き・A+コンテンツまで含めた表現のチェックと改善提案を行っています。訴求力を落とさずに、安全な表現に調整します。
Amazon運用代行ならIRUNE。無料アカウント診断を受ける →
違反した場合のリスク:課徴金とAmazon側の出品停止
法律違反のリスクとAmazon規約違反のリスクは、別々に、しかも同時に発生します。
薬機法第66条第1項に違反する虚偽・誇大広告を行った場合、2021年8月の法改正により導入された課徴金制度に基づき、違反期間中の対象商品の売上額の4.5%にあたる課徴金が科される可能性があります(薬機法第75条の5の2)。同じ表示が景品表示法上の優良誤認表示にも該当する場合は、景品表示法の課徴金(売上の3%)との重複分が調整される仕組みになっています。
なお、違反行為による売上が5,000万円以下の場合や、行政の監視が入る前に自主申告した場合には、課徴金が科されない、または減額される制度もあります。
これに加えて、Amazon独自のリスクもあります。Amazonは商品ページの文言を自動的に検知しており、薬機法に抵触する可能性がある表現が見つかると、警告や出品停止の対象になります。法律上の課徴金・措置命令と、Amazonアカウントの健全性という2つのリスクが、同時に発生し得ることを理解しておく必要があります。
実務でのチェックの進め方
商品ページのどこを見るべきかが分かれば、チェックにかかる時間は大きく減らせます。
- 商品名・箇条書き・商品説明文に、身体の構造や機能への影響を暗示する表現が入っていないか
- 化粧品の場合、56項目の範囲を超えた効能効果を謳っていないか
- 成分名を強調する表現(特記表示)が、2025年3月の新ルールの条件を満たしているか
- お客様の声やレビューへの返信の中に、効果を保証するような表現が紛れ込んでいないか
- A+コンテンツやブランドストアの画像内テキストも、通常の商品説明文と同じ基準でチェックできているか

薬機法まわりのチェックで特に見落とされやすいのが、A+コンテンツやブランドストアの「画像の中のテキスト」です。商品説明文はしっかり気をつけているのに、画像内のキャッチコピーは対象外だと思い込んでいるケースをよく見かけます。画像もテキストと同じ広告表現として扱われるので、注意が必要です。個別の表現がグレーかどうかの最終判断は、薬機法に詳しい専門家に確認するのが一番確実です。

部位ごとに「言える範囲」と「言えない範囲」が決まっている
まとめ:ルールを知ることは、売り方の幅を広げること
薬機法は「表現を制限する法律」であると同時に、「何を言えば安全に売れるか」を教えてくれる地図でもあります。
健康食品は「食品」として、化粧品は「56項目の範囲」として、それぞれ守るべきルールの形は異なりますが、共通しているのは「身体への効果を保証しない」という一線です。ここを正しく理解した上で、成分の魅力や使用感、ブランドのストーリーといった、規制の範囲内で伝えられる情報を丁寧に組み立てることが、結果的に安定した長期運用につながります。
「自社の商品ページが薬機法上問題ないか、専門家の視点でチェックしてほしい」「健康食品・化粧品ジャンルでの運用実績があるパートナーを探している」という場合は、株式会社IRUNEにご相談ください。元Amazon社員が、御社の商品ページを確認した上で、法令順守と訴求力を両立させる改善提案をいたします。
私たちIRUNEでは、元Amazon社員をはじめとするプロのメンバーが、健康食品・化粧品ジャンルでの実務経験をもとに、商品ページの表現チェックから改善提案まで一貫してサポートいたします。
無料アカウント診断を受ける →











